「さらだ」の活動趣旨や活動内容を紹介していきます。


by salad_lgbti

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一年ぶりにさらだの企画を開催いたします。

さらだ企画 vol.6
2012年3月3日(土)17時〜(開場16時30分)

【被災地の性的マイノリティの声から考える
〜つながりあえる社会とは〜】


東日本大震災から1年になります。被災地の性的マイノリティ(ゲイ、レズビアン、トランスセクシュアルなど)はどんな環境で、どんな思いで過ごしていたのでしょう。性的マイノリティの生の声を聞きたいと思い、わたしたち「さらだ」はインタビュー映像などを集めました。その内容からは、人とのつながりや、ジェンダー/セクシュアリティにまつわる困難など、わたしたちが暮らす日常の社会と共通する問題が見えてくるように思いました。
 今回の企画では、前半でインタビュー映像などの資料を紹介し、後半で参加者同士で感想を交流します。どんなセクシュアリティの人もその人らしく暮らせる社会とは─みなさんと共に考える企画にしたいと思っています。性的マイノリティ当事者の方もそうでない方も大歓迎です。ぜひいらしてください。※ご自分のセクシュアリティを公表したくない方も参加できます。

参加費●500円
場所●RAFT(東中野駅から徒歩13分/中野坂上駅から徒歩10分)
地図●http://www.purple.dti.ne.jp/raft/
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主催・お問い合わせ:さらだ(セクシュアルマイノリティと人権を考える会)
E-mail●salad_lgbt(アットmark)yahoo.co.jp
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by salad_lgbti | 2012-01-30 12:32 | 今後の予定
前の更新から随分間が空いてしまいました。
今年はもうすこし活発に活動を展開していければと考えています。
どうぞよろしくお願いします。

さて、昨年2月に行った、渡辺大輔さんの講演
『学校の中の性的マイノリティ〜カナダの取り組みから日本の教育を考える〜』の報告です。

 性的マイノリティと教育について研究されている渡辺大輔さんを招いての講演会を行い、講演後、グループに分かれて1時間ほどテーマに沿って話し合いました。全体で40人を超える方々にお越しいただきました。

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●中学校や高校で
  学校では性的マイノリティの子どもたちも生活しています。大学生に中学や高校時代の体験談を聞きました。
○女子校には「レズビアン」のカップルがいた。学校外でデートしていたのを誰かが見て、噂が学年中に広がり、わたしもあれこれ噂してしまった。(女性)
○仲良かった男子が、顔やしゃべり方が「女っぽい」という理由で周りの子からいじめにあっていた。気にせずに仲良くしていたら「あいつらできているんじゃないか」と言われるようになり、それが耐えられなくて、その子を無視してしまうようになった。(男性)

●性的マイノリティのつらさ
 性的マイノリティの子どもたちはどんな思いで生活しているのでしょう。
○学校の先生で、「ホモネタ」を言う人がいた。それをクラスみんなが笑っていて、笑わなかったら「あいつゲイかも」と思われるから僕も笑った。でも感情がこみ上げてきて顔が赤くなって、苦しくて泣きそうになった。でもここで泣いたら絶対ゲイってバレると思っていたたまれなくなった。(ゲイ)
○保健体育の授業では、男女別、性別違和のないヘテロセクシュアルを前提に話をしていた。健康な異性愛の男女の話ばかりされるのは嫌だ。聞くのもつらかった。性的マイノリティのこともきちんと話してほしい。(トランスジェンダー)

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●「様々な性」の授業は10%未満
 日本の性教育はどうなっているでしょうか。小学校4年の保健で第二次成長の学習をします。初潮、精通、異性への関心…異性限定の内容です。中学校の保健体育でも、異性への関心など異性愛限定です。高校の保健体育でも、思春期と健康、結婚生活において異性を尊重する態度が必要だという内容で、同性に対することや性自認の問題はまったく出てきません。学習指導要領に従うと、性教育で扱う内容は、体と心に違和感のない異性愛の人が大前提で、それ以外の性的マイノリティは扱わないのです。全国中学校調査によれば、授業で「様々な性」を取り扱っているというのは10%未満です。

●差別意識と向き合う授業
 多様な性を教えることに関心を持ち、研究や実践をしている教職員もいます。わたしも共同研究の一環で2年間、関西の中学校で「多様な性」についての授業をしています。
 1年目の授業ではビデオを見せましたが、生徒たちの反応は「ビデオだと質問できない」「頭の中では差別だってわかっていてもキモいとか思ってしまう」というようなものでした。
 そこで翌年は、実物としてゲイのわたしが教壇に立って授業をしました。ある生徒の感想です。「やっぱり同性愛は理解できず、人間的に受け付けられない自分がいることに気づいた。けど、いろんな考えを理解できる人になりたいと思った。先生の手が震えていたのでやっぱり話すことは緊張するんだなぁと思った」
 こういう感想を中学3年で書けるってすごいことだと思います。「もうこれからは差別しないと思う」と簡単に書いてしまうより、自分の差別意識と一度向き合うことは、大きな一歩です。性的マイノリティが生身の人間として伝えるというのも、生徒たちが考えるきっかけになるのだと思いました。

●生徒の意外な反応
 また、ドラマ(映像)を活用した授業も行なっています。主人公はレズビアンの高校生。父と祖母に、たまたまカミングアウトすることになってしまう。父親は理解があったけれど、祖母には全く理解されず…という内容です。ドラマを見たあとにある生徒が「あのおばあちゃん死ななきゃ変わんないよ」と言いました。わたしは当初、どうしてカミングアウトしたのか? その時の気持ちは? というような質問を用意していたのですが、生徒たちはそうじゃなくて「このおばあちゃんを何とかしたい」というように見たのです。授業実践では、生徒たちに教えられて発展していくことがあります。

●トランスジェンダー生徒交流会
 京都に土肥いつきさんという、トランスジェンダーの高校の先生がいます。その方が年4回「トランスジェンダー生徒交流会」というのを開いています。この交流会を紹介したVTRを見てみましょう(NHK京都「京特~絆~」2010年5月20日放送)。トランスジェンダーの中高生を集めて、みんなでお昼ご飯を作って、自己紹介をしてゲストスピーカーと話をします。これからどう生きていくか、どう仕事を見つけるか、仕事の中ではどんな困難があるかなど、いろんな世代の人と交流しています。

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●カナダ・トロントでは
  さて、カナダのオンタリオ州トロントの教育実践を紹介します。わたしは1999年、2000年、2010年と3回調査に行きました。トロントは様々な人種や民族、セクシュアリティの人が住むカナダ最大の都市です。1986年に改定されたオンタリオ人権規約では、性的指向にかかわらず人権が保障されるという内容が盛り込まれました。また、2005年には異性間の結婚と同性間の結婚に区別がない市民結婚法が制定されました。

●中学生によるゲイ殺害がきっかけ
 トロントでは性的マイノリティに関するユニークな教育実践が行われていますが、そのきっかけになったのは1985年の事件でした。ゲイの学校司書が男子中学生4人に殺害されたのです。教育委員会が調査したところ、学校の中にセクシュアリティに関してのいじめや差別があることがわかりました。そこで教育委員会は、学習プログラムや教職員研修に取り組むようになったのです。

●「性の多様性」の出張授業
 トロント教育委員会がスタッフを学校に派遣し、カウンセリング、情報提供、相談事業などを行う、「ヒューマンセクシュアリティプログラム」というものがあります。
 その中に「性の多様性」をテーマとした出張授業があります。2000年には年50回くらい高校を中心に行われていましたが、2010年には年300回に増え、低年齢の子どもを対象にしたケースが増えていました。2005年に市民結婚法ができたことで、親がゲイやレズビアンの子どもたちがいて、彼らが学校でからかわれたりするからです。出張授業は教育委員会が派遣するソーシャルワーカーが行います。ソーシャルワーカーとは、子どもが過ごしやすい人間関係や環境、ネットワーク作りをする人です。

●「家族っていろいろだよね」
 ここで、小学校低学年の授業で見せる「That's a family! 」というDVDを見てみましょう。映像では、子どもたちが自分の家族を紹介します。片親の子、別々に暮らす離婚した家庭の子、そして同性カップルを親に持つ子も出てきます。授業では「家族っていろいろだよね」と話します。授業のあと、お母さんがレズビアンの子どもが「今まで友達には言わなかったけど、言える気がする」と話したそうです。

●性的マイノリティのための学校
 トロントには、高校に通えなくなった性的マイノリティのための学校を運営する「トライアングルプログラム」があります。教室は教会の1室を借りています。通ってくる子どもたちは、2000年は親に排除されてしまった子が多かったのですが、2010年には親は認めてくれるけれど学校でいじめられてという子が多くいました。
 セクシュアリティの構成は、50%がゲイ、22%がレズビアン、19%がトランスジェンダー/セクシュアル、2%がバイセクシュアル、その他5%です。

●安心できる場所づくり
 1999年に初めてわたしが行ったとき、生徒たちに会わせてもらえませんでした。ゲイ当事者であっても外部からの人にはそう簡単には会わせられないということでした。深く傷つけられ学校に通えなくなった彼らにとって、安心できる場所を確保するということが徹底されているのです。生徒たちが話しやすい環境にするということで、スタッフもほぼ全員が性的マイノリティです。

●自己肯定感の育成
 トロント「トライアングルプログラム」の高校での授業内容をいくつか紹介しましょう。自分のカミングアウトストーリーを作る授業があります。3週間かけて学習し、英語の単位になります。この中では、自分がカミングアウトしたい人に手紙を書きます。理想の反応とか、こんな反応があったらどうするかなどと想定しながら、クラスで議論します。
 性的マイノリティの大人から経験を聞く機会もあります。生活の困難をどう乗り越えているのか、どうネットワークを作っているのかというような話です。それから自分自身のカミングアウトストーリーを執筆して、クラスで発表します。「あなたのストーリーはこうなんだ、わたしのはこうだよ」と話し合いながら自己肯定感を高めていくのです。

●自分の将来像を描く
 ライフマネージメントという科目では、性感染症や性暴力の問題のほか、レズビアンの歴史など、歴史に登場する性的マイノリティを積極的に扱いながら、「自分たちの仲間もこうやって歴史的に活躍した人がいるんだ」と学習しています。
 また、就労体験型の学習もあります。近くのゲイコミュニティのお店に入ったり、レズビアンのカップルでやっている獣医さんのもとで就労体験したりするそうです。こうした体験を通じて、自分の将来像を描いたり、地域の中で性的マイノリティという要素を持ちながらどう生きていくかを考えます。

●日本でも若者の居場所を
 現状では日本とカナダではかなり差がありますが、日本でも地道な動きがあります。教職員向けの啓発ビデオやサポートブックを普及する取り組みや、教育実践を広げる教職員のネットワークなどです。教職員とサポートグループと教育行政がつながって、性的マイノリティの若者の居場所をもっと増やせるといいと思っています。

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渡辺 大輔 わたなべ だいすけ
埼玉大学、千葉大学、都留文科大学、東京都立大学・首都大学東京、法政大学、千葉市青葉看護専門学校非常勤講師。専門:セクシュアリティ/セクシュアルマイノリティと教育。博士(教育学)。“人間と性”教育研究協議会 幹事。



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参加者から寄せられた感想

●初めて参加しました。学生時代に自分の周りにいるかも?と考えたことがなかったので、多くの人が理解を求めていることを初めて知りました。

●海外では、ゲイのカップルによく出会うのですが、日本ではほとんど出会ったことがありません。やっぱり日本では雰囲気的にはまだまだむずかしいのかなぁ…

●カナダに比べて日本はあまりにも性的マイノリティの教育がされていないことに驚きました。

●今の学校教育は性的マイノリティだけでなく、性教育全体が遅れているように感じる。性教育全体をボトムアップしつつ性的マイノリティをフォローしていける教育になればいいと思った。

●大人になってから自分で調べるまで性的マイノリティの知識は得られなかった。友人にそういう知識を伝えようと思っても上手く伝えられないので非常にもどかしく思う。性的マイノリティについての知識が常識となる社会になればいいなと思う。

●日本はあまりにも性教育が遅れているのを痛感するけれど、本当にもっと様々な性のあり方、そして男性・女性という性も尊重されるような教育を行う政府に、変えていかなければと思いました。

●現役の高校生として参加をしたけど、アットホームな感じで話しやすかった。日本はカナダに見習うところはたくさんあるけど、身近に小さな変化なら生めるはずなので、少しのことでもやっていきたいと思った。

●悲しいけれど、まだ教員の中にも「ホモネタ」を笑いのタネにする人がいます。でも、研修会を開いて学習するとわかる教員が多いです。私自身は、多様な性について指導しています。子どもたちは柔軟な感性で受け入れます。教員という立場で、まずは自分のまわりから変えていこうと考えています。
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by salad_lgbti | 2012-01-30 12:23 | 企画の報告