「さらだ」の活動趣旨や活動内容を紹介していきます。


by salad_lgbti

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2012年3月3日に開催したさらだ企画【被災地の性的マイノリティの声から考える〜つながりあえる社会とは〜】の報告です。

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昨年(2011年)、さらだのメンバーで次の企画のテーマを話し合うなか東日本大震災がおこりました。震災後、次の企画テーマは「東日本大震災」は避けては通れないのではないか、となりました。さらだのメンバーのなかにも実家が被災したり、地震当日は帰宅できず職場に泊まったものなどもいました。そして、東北地方の被害の大きさに触れるなかで、セクシュアルマイノリティの立場で今回の震災を考えたいとメンバーの一致した思いとなりました。

そこで、被災されたセクシュアルマイノリティ当事者の声を通じて、被災によって直面しているそれぞれの困難や思いを集め、そこからいまの社会に必要なものを考えていく、そんな企画にしたいと思い、企画の準備をはじめました。しかし、実際、声集めをはじめると、東北地方のセクシュアルマイノリティの方々と繋がることが難しく、思うように当事者の声が集まりませんでした。セクシュアリティという個人のプライバシーに関わる問題でもあるため、なかなか当事者を紹介していただけないという状況でした。

そのような状況でしたが、この企画のために下記の方々がインタビュー(3件)、アンケート(2件)を引き受けてくれました。

●インタビュー1 震災時仙台で仕事をされていて、石巻の実家でご両親が被災されたUさんのインタビュー。インタビュー当時(2011年8月)は、東京の避難住宅にて生活。避難生活で抱える不安、そして東北地方のゲイコミュニティの状況に関してお聞きしました。Uさんは福祉系の仕事をされているということもあり、高齢者の孤立の問題や就労の問題などについて語ってくれました。そして東北でセクシュアルマイノリティとして生きていくことの大変さについても率直に語っていただきました。

●インタビュー2 仙台のゲイコミュニティを中心に活動している「やろっこ」の事務局の太田さんと、やろっこが運営する「コミュニティセンターZEL」を利用している2名の方のインタビュー。「やろっこ」のインタビューでは、ゲイだからこそつながりがあえた、コミュニティに支えられた部分があったという話が印象的でした。

●インタビュー3 「セクシュアリティと人権を考える会」会員の内田さんのインタビュー。内田さんは、仙台在住で避難所でのセクシュアルマイノリティの実態調査をおこなってきました。トランスジェンダーの方が抱えた困難などお話いただきました。震災などの非常時には、日常的にあるジェンダー(性的役割)がより強まる傾向があるというお話しが印象的でした。実際、避難所では、大抵の場合男性がリーダーとなり、女性のニーズが反映されない状況があったようです。全てのセクシュアリティの人々が被災しても最低限の尊厳を持てるようにすることが大切ということを語っていただきました。

●アンケート1 東北福祉大学LGBTサークルBLENDA 震災時の不安、疲労感、他者への不信感などを具体的に書いていただきました。

●アンケート2 仙台のレズビアン、バイセクシュアル女性のサークル「♀?♀お茶っこ飲み会・仙台」のMさん 被災時、セクシュアリティに関わることで困ったことはとくに無かったということ、そして今回の経験から、行政も個人もまずは緊急時に備えることが大切ということをご記入いただきました。

当日の企画では、これらのインタビュー映像とアンケートを紹介し、それをもとにグループトークを行いました。グループトークでは、以下2つのポイントについてそれぞれ意見を交流をしました。

●トークポイント1 インタビューのなかにさまざまなセクシュアリティの方々のエピソードが出てきます。それらのエピソードから、自分とは違うセクシュアリティの方の視点に立ち、それぞれ感じたことを話し合いました。自分とは違う性別・セクシュアリティについて考えることで色々な発見があるのではないかと考えました。

●トークポイント2 社会ではさまざまなセクシュアリティの人が暮らしています。日常のなかで異なるセクシュアリティの人とどうやって繋がっていけたらよいか、それぞれ思うところを話し合いました。

●各グループトークの内容
・避難所のようなところでは、女性やお年寄りなどの弱者がさらなる弱者になってしまう(ヘテロ男性)
・被災地であってもマイノリティの自分を分かってくれている人がいると知るだけで気持ちが違う(ゲイ男性)
・差し支えなければカミングアウトしてくれると、友人として嬉しい(ヘテロ女性)
・ヘテロとしては待つしかないが、カムアウトしてくれなくてもそれは仕方がない(ヘテロ女性)
・セクシュアリティを隠して生きているがカミングアウトをしづらい環境がある。普通に生きていけるしそれに慣れてしまった(ゲイ男性)
・日常生活ではセクシュアリティは話題にならないから、そのままだとヘテロだと思われている(ゲイ男性)
・仙台でコミュニティがあって良かったが、コミュニティと合わない人、コミュニティと出会えていない人は見えてこない(ヘテロ女性)
など、3つのグループに分かれ、それぞれ感想や意見を交換しあいました。

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今回の企画は、立ち上げからとても苦労しました。直接大きな被害は無かった首都圏で生活してる私たち(さらだメンバー)がこちらの想像力だけで、被災地のことをあれこれ考えることに躊躇もありました。企画打ち合わせの中でも「被災した人にとってはセクシュアリティの問題より、まずは生きるための衣食住のほうが先だから、このような状況のなかで震災とセクシュアリティの問題を重ねて考えることは無理があるのではないか」というようなことを何度も議論しました。

しかし、インタビューやアンケートを集めるなかで、東北のセクシュアルマイノリティコミュニティの状況、被災時に日常のジェンダーがより強まる傾向があるということなどが、ぼんやりとですが見えてきました。そこから、やはり大切なのは、日常から様々な立場の人の状況を知るということだと感じ、どうしてもこの企画を形にし、問題を共有したいということで準備をしてきました。

セクシュアリティの問題は日常の中でもなかなか見えていません。ですから被災というなかでは、より可視化しにくい問題です。それはさらに言えばセクシュアルマイノリティの問題だけでなく、多くの社会的マイノリティについて言える事です。ですから、普段の日常の中からさまざまな立場の人々の視点を感じ、知ることが必要だと思いました。それが被災という非常時でも生かされてくるはずです。

そして、それぞれがそれぞれの自己責任で問題を解決するのではなく、違いを超えて問題を共有し、お互いがつながっていける社会にしていくことが大切だと、今回の企画を通じて強く思いました。

改めて、今回インタビュー、アンケートにご協力いただいた方々に御礼申し上げます。ありがとうございました。さらだではこれからも、誰もがそのひとらしく生きられるような社会を目指して、地道に活動していきたいと思っております。
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by salad_lgbti | 2012-07-25 17:48 | 企画の報告