「さらだ」の活動趣旨や活動内容を紹介していきます。


by salad_lgbti
2012年3月3日に開催したさらだ企画【被災地の性的マイノリティの声から考える〜つながりあえる社会とは〜】の報告です。

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昨年(2011年)、さらだのメンバーで次の企画のテーマを話し合うなか東日本大震災がおこりました。震災後、次の企画テーマは「東日本大震災」は避けては通れないのではないか、となりました。さらだのメンバーのなかにも実家が被災したり、地震当日は帰宅できず職場に泊まったものなどもいました。そして、東北地方の被害の大きさに触れるなかで、セクシュアルマイノリティの立場で今回の震災を考えたいとメンバーの一致した思いとなりました。

そこで、被災されたセクシュアルマイノリティ当事者の声を通じて、被災によって直面しているそれぞれの困難や思いを集め、そこからいまの社会に必要なものを考えていく、そんな企画にしたいと思い、企画の準備をはじめました。しかし、実際、声集めをはじめると、東北地方のセクシュアルマイノリティの方々と繋がることが難しく、思うように当事者の声が集まりませんでした。セクシュアリティという個人のプライバシーに関わる問題でもあるため、なかなか当事者を紹介していただけないという状況でした。

そのような状況でしたが、この企画のために下記の方々がインタビュー(3件)、アンケート(2件)を引き受けてくれました。

●インタビュー1 震災時仙台で仕事をされていて、石巻の実家でご両親が被災されたUさんのインタビュー。インタビュー当時(2011年8月)は、東京の避難住宅にて生活。避難生活で抱える不安、そして東北地方のゲイコミュニティの状況に関してお聞きしました。Uさんは福祉系の仕事をされているということもあり、高齢者の孤立の問題や就労の問題などについて語ってくれました。そして東北でセクシュアルマイノリティとして生きていくことの大変さについても率直に語っていただきました。

●インタビュー2 仙台のゲイコミュニティを中心に活動している「やろっこ」の事務局の太田さんと、やろっこが運営する「コミュニティセンターZEL」を利用している2名の方のインタビュー。「やろっこ」のインタビューでは、ゲイだからこそつながりがあえた、コミュニティに支えられた部分があったという話が印象的でした。

●インタビュー3 「セクシュアリティと人権を考える会」会員の内田さんのインタビュー。内田さんは、仙台在住で避難所でのセクシュアルマイノリティの実態調査をおこなってきました。トランスジェンダーの方が抱えた困難などお話いただきました。震災などの非常時には、日常的にあるジェンダー(性的役割)がより強まる傾向があるというお話しが印象的でした。実際、避難所では、大抵の場合男性がリーダーとなり、女性のニーズが反映されない状況があったようです。全てのセクシュアリティの人々が被災しても最低限の尊厳を持てるようにすることが大切ということを語っていただきました。

●アンケート1 東北福祉大学LGBTサークルBLENDA 震災時の不安、疲労感、他者への不信感などを具体的に書いていただきました。

●アンケート2 仙台のレズビアン、バイセクシュアル女性のサークル「♀?♀お茶っこ飲み会・仙台」のMさん 被災時、セクシュアリティに関わることで困ったことはとくに無かったということ、そして今回の経験から、行政も個人もまずは緊急時に備えることが大切ということをご記入いただきました。

当日の企画では、これらのインタビュー映像とアンケートを紹介し、それをもとにグループトークを行いました。グループトークでは、以下2つのポイントについてそれぞれ意見を交流をしました。

●トークポイント1 インタビューのなかにさまざまなセクシュアリティの方々のエピソードが出てきます。それらのエピソードから、自分とは違うセクシュアリティの方の視点に立ち、それぞれ感じたことを話し合いました。自分とは違う性別・セクシュアリティについて考えることで色々な発見があるのではないかと考えました。

●トークポイント2 社会ではさまざまなセクシュアリティの人が暮らしています。日常のなかで異なるセクシュアリティの人とどうやって繋がっていけたらよいか、それぞれ思うところを話し合いました。

●各グループトークの内容
・避難所のようなところでは、女性やお年寄りなどの弱者がさらなる弱者になってしまう(ヘテロ男性)
・被災地であってもマイノリティの自分を分かってくれている人がいると知るだけで気持ちが違う(ゲイ男性)
・差し支えなければカミングアウトしてくれると、友人として嬉しい(ヘテロ女性)
・ヘテロとしては待つしかないが、カムアウトしてくれなくてもそれは仕方がない(ヘテロ女性)
・セクシュアリティを隠して生きているがカミングアウトをしづらい環境がある。普通に生きていけるしそれに慣れてしまった(ゲイ男性)
・日常生活ではセクシュアリティは話題にならないから、そのままだとヘテロだと思われている(ゲイ男性)
・仙台でコミュニティがあって良かったが、コミュニティと合わない人、コミュニティと出会えていない人は見えてこない(ヘテロ女性)
など、3つのグループに分かれ、それぞれ感想や意見を交換しあいました。

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今回の企画は、立ち上げからとても苦労しました。直接大きな被害は無かった首都圏で生活してる私たち(さらだメンバー)がこちらの想像力だけで、被災地のことをあれこれ考えることに躊躇もありました。企画打ち合わせの中でも「被災した人にとってはセクシュアリティの問題より、まずは生きるための衣食住のほうが先だから、このような状況のなかで震災とセクシュアリティの問題を重ねて考えることは無理があるのではないか」というようなことを何度も議論しました。

しかし、インタビューやアンケートを集めるなかで、東北のセクシュアルマイノリティコミュニティの状況、被災時に日常のジェンダーがより強まる傾向があるということなどが、ぼんやりとですが見えてきました。そこから、やはり大切なのは、日常から様々な立場の人の状況を知るということだと感じ、どうしてもこの企画を形にし、問題を共有したいということで準備をしてきました。

セクシュアリティの問題は日常の中でもなかなか見えていません。ですから被災というなかでは、より可視化しにくい問題です。それはさらに言えばセクシュアルマイノリティの問題だけでなく、多くの社会的マイノリティについて言える事です。ですから、普段の日常の中からさまざまな立場の人々の視点を感じ、知ることが必要だと思いました。それが被災という非常時でも生かされてくるはずです。

そして、それぞれがそれぞれの自己責任で問題を解決するのではなく、違いを超えて問題を共有し、お互いがつながっていける社会にしていくことが大切だと、今回の企画を通じて強く思いました。

改めて、今回インタビュー、アンケートにご協力いただいた方々に御礼申し上げます。ありがとうございました。さらだではこれからも、誰もがそのひとらしく生きられるような社会を目指して、地道に活動していきたいと思っております。
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# by salad_lgbti | 2012-07-25 17:48 | 企画の報告
一年ぶりにさらだの企画を開催いたします。

さらだ企画 vol.6
2012年3月3日(土)17時〜(開場16時30分)

【被災地の性的マイノリティの声から考える
〜つながりあえる社会とは〜】


東日本大震災から1年になります。被災地の性的マイノリティ(ゲイ、レズビアン、トランスセクシュアルなど)はどんな環境で、どんな思いで過ごしていたのでしょう。性的マイノリティの生の声を聞きたいと思い、わたしたち「さらだ」はインタビュー映像などを集めました。その内容からは、人とのつながりや、ジェンダー/セクシュアリティにまつわる困難など、わたしたちが暮らす日常の社会と共通する問題が見えてくるように思いました。
 今回の企画では、前半でインタビュー映像などの資料を紹介し、後半で参加者同士で感想を交流します。どんなセクシュアリティの人もその人らしく暮らせる社会とは─みなさんと共に考える企画にしたいと思っています。性的マイノリティ当事者の方もそうでない方も大歓迎です。ぜひいらしてください。※ご自分のセクシュアリティを公表したくない方も参加できます。

参加費●500円
場所●RAFT(東中野駅から徒歩13分/中野坂上駅から徒歩10分)
地図●http://www.purple.dti.ne.jp/raft/
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主催・お問い合わせ:さらだ(セクシュアルマイノリティと人権を考える会)
E-mail●salad_lgbt(アットmark)yahoo.co.jp
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# by salad_lgbti | 2012-01-30 12:32 | 今後の予定
前の更新から随分間が空いてしまいました。
今年はもうすこし活発に活動を展開していければと考えています。
どうぞよろしくお願いします。

さて、昨年2月に行った、渡辺大輔さんの講演
『学校の中の性的マイノリティ〜カナダの取り組みから日本の教育を考える〜』の報告です。

 性的マイノリティと教育について研究されている渡辺大輔さんを招いての講演会を行い、講演後、グループに分かれて1時間ほどテーマに沿って話し合いました。全体で40人を超える方々にお越しいただきました。

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●中学校や高校で
  学校では性的マイノリティの子どもたちも生活しています。大学生に中学や高校時代の体験談を聞きました。
○女子校には「レズビアン」のカップルがいた。学校外でデートしていたのを誰かが見て、噂が学年中に広がり、わたしもあれこれ噂してしまった。(女性)
○仲良かった男子が、顔やしゃべり方が「女っぽい」という理由で周りの子からいじめにあっていた。気にせずに仲良くしていたら「あいつらできているんじゃないか」と言われるようになり、それが耐えられなくて、その子を無視してしまうようになった。(男性)

●性的マイノリティのつらさ
 性的マイノリティの子どもたちはどんな思いで生活しているのでしょう。
○学校の先生で、「ホモネタ」を言う人がいた。それをクラスみんなが笑っていて、笑わなかったら「あいつゲイかも」と思われるから僕も笑った。でも感情がこみ上げてきて顔が赤くなって、苦しくて泣きそうになった。でもここで泣いたら絶対ゲイってバレると思っていたたまれなくなった。(ゲイ)
○保健体育の授業では、男女別、性別違和のないヘテロセクシュアルを前提に話をしていた。健康な異性愛の男女の話ばかりされるのは嫌だ。聞くのもつらかった。性的マイノリティのこともきちんと話してほしい。(トランスジェンダー)

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●「様々な性」の授業は10%未満
 日本の性教育はどうなっているでしょうか。小学校4年の保健で第二次成長の学習をします。初潮、精通、異性への関心…異性限定の内容です。中学校の保健体育でも、異性への関心など異性愛限定です。高校の保健体育でも、思春期と健康、結婚生活において異性を尊重する態度が必要だという内容で、同性に対することや性自認の問題はまったく出てきません。学習指導要領に従うと、性教育で扱う内容は、体と心に違和感のない異性愛の人が大前提で、それ以外の性的マイノリティは扱わないのです。全国中学校調査によれば、授業で「様々な性」を取り扱っているというのは10%未満です。

●差別意識と向き合う授業
 多様な性を教えることに関心を持ち、研究や実践をしている教職員もいます。わたしも共同研究の一環で2年間、関西の中学校で「多様な性」についての授業をしています。
 1年目の授業ではビデオを見せましたが、生徒たちの反応は「ビデオだと質問できない」「頭の中では差別だってわかっていてもキモいとか思ってしまう」というようなものでした。
 そこで翌年は、実物としてゲイのわたしが教壇に立って授業をしました。ある生徒の感想です。「やっぱり同性愛は理解できず、人間的に受け付けられない自分がいることに気づいた。けど、いろんな考えを理解できる人になりたいと思った。先生の手が震えていたのでやっぱり話すことは緊張するんだなぁと思った」
 こういう感想を中学3年で書けるってすごいことだと思います。「もうこれからは差別しないと思う」と簡単に書いてしまうより、自分の差別意識と一度向き合うことは、大きな一歩です。性的マイノリティが生身の人間として伝えるというのも、生徒たちが考えるきっかけになるのだと思いました。

●生徒の意外な反応
 また、ドラマ(映像)を活用した授業も行なっています。主人公はレズビアンの高校生。父と祖母に、たまたまカミングアウトすることになってしまう。父親は理解があったけれど、祖母には全く理解されず…という内容です。ドラマを見たあとにある生徒が「あのおばあちゃん死ななきゃ変わんないよ」と言いました。わたしは当初、どうしてカミングアウトしたのか? その時の気持ちは? というような質問を用意していたのですが、生徒たちはそうじゃなくて「このおばあちゃんを何とかしたい」というように見たのです。授業実践では、生徒たちに教えられて発展していくことがあります。

●トランスジェンダー生徒交流会
 京都に土肥いつきさんという、トランスジェンダーの高校の先生がいます。その方が年4回「トランスジェンダー生徒交流会」というのを開いています。この交流会を紹介したVTRを見てみましょう(NHK京都「京特~絆~」2010年5月20日放送)。トランスジェンダーの中高生を集めて、みんなでお昼ご飯を作って、自己紹介をしてゲストスピーカーと話をします。これからどう生きていくか、どう仕事を見つけるか、仕事の中ではどんな困難があるかなど、いろんな世代の人と交流しています。

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●カナダ・トロントでは
  さて、カナダのオンタリオ州トロントの教育実践を紹介します。わたしは1999年、2000年、2010年と3回調査に行きました。トロントは様々な人種や民族、セクシュアリティの人が住むカナダ最大の都市です。1986年に改定されたオンタリオ人権規約では、性的指向にかかわらず人権が保障されるという内容が盛り込まれました。また、2005年には異性間の結婚と同性間の結婚に区別がない市民結婚法が制定されました。

●中学生によるゲイ殺害がきっかけ
 トロントでは性的マイノリティに関するユニークな教育実践が行われていますが、そのきっかけになったのは1985年の事件でした。ゲイの学校司書が男子中学生4人に殺害されたのです。教育委員会が調査したところ、学校の中にセクシュアリティに関してのいじめや差別があることがわかりました。そこで教育委員会は、学習プログラムや教職員研修に取り組むようになったのです。

●「性の多様性」の出張授業
 トロント教育委員会がスタッフを学校に派遣し、カウンセリング、情報提供、相談事業などを行う、「ヒューマンセクシュアリティプログラム」というものがあります。
 その中に「性の多様性」をテーマとした出張授業があります。2000年には年50回くらい高校を中心に行われていましたが、2010年には年300回に増え、低年齢の子どもを対象にしたケースが増えていました。2005年に市民結婚法ができたことで、親がゲイやレズビアンの子どもたちがいて、彼らが学校でからかわれたりするからです。出張授業は教育委員会が派遣するソーシャルワーカーが行います。ソーシャルワーカーとは、子どもが過ごしやすい人間関係や環境、ネットワーク作りをする人です。

●「家族っていろいろだよね」
 ここで、小学校低学年の授業で見せる「That's a family! 」というDVDを見てみましょう。映像では、子どもたちが自分の家族を紹介します。片親の子、別々に暮らす離婚した家庭の子、そして同性カップルを親に持つ子も出てきます。授業では「家族っていろいろだよね」と話します。授業のあと、お母さんがレズビアンの子どもが「今まで友達には言わなかったけど、言える気がする」と話したそうです。

●性的マイノリティのための学校
 トロントには、高校に通えなくなった性的マイノリティのための学校を運営する「トライアングルプログラム」があります。教室は教会の1室を借りています。通ってくる子どもたちは、2000年は親に排除されてしまった子が多かったのですが、2010年には親は認めてくれるけれど学校でいじめられてという子が多くいました。
 セクシュアリティの構成は、50%がゲイ、22%がレズビアン、19%がトランスジェンダー/セクシュアル、2%がバイセクシュアル、その他5%です。

●安心できる場所づくり
 1999年に初めてわたしが行ったとき、生徒たちに会わせてもらえませんでした。ゲイ当事者であっても外部からの人にはそう簡単には会わせられないということでした。深く傷つけられ学校に通えなくなった彼らにとって、安心できる場所を確保するということが徹底されているのです。生徒たちが話しやすい環境にするということで、スタッフもほぼ全員が性的マイノリティです。

●自己肯定感の育成
 トロント「トライアングルプログラム」の高校での授業内容をいくつか紹介しましょう。自分のカミングアウトストーリーを作る授業があります。3週間かけて学習し、英語の単位になります。この中では、自分がカミングアウトしたい人に手紙を書きます。理想の反応とか、こんな反応があったらどうするかなどと想定しながら、クラスで議論します。
 性的マイノリティの大人から経験を聞く機会もあります。生活の困難をどう乗り越えているのか、どうネットワークを作っているのかというような話です。それから自分自身のカミングアウトストーリーを執筆して、クラスで発表します。「あなたのストーリーはこうなんだ、わたしのはこうだよ」と話し合いながら自己肯定感を高めていくのです。

●自分の将来像を描く
 ライフマネージメントという科目では、性感染症や性暴力の問題のほか、レズビアンの歴史など、歴史に登場する性的マイノリティを積極的に扱いながら、「自分たちの仲間もこうやって歴史的に活躍した人がいるんだ」と学習しています。
 また、就労体験型の学習もあります。近くのゲイコミュニティのお店に入ったり、レズビアンのカップルでやっている獣医さんのもとで就労体験したりするそうです。こうした体験を通じて、自分の将来像を描いたり、地域の中で性的マイノリティという要素を持ちながらどう生きていくかを考えます。

●日本でも若者の居場所を
 現状では日本とカナダではかなり差がありますが、日本でも地道な動きがあります。教職員向けの啓発ビデオやサポートブックを普及する取り組みや、教育実践を広げる教職員のネットワークなどです。教職員とサポートグループと教育行政がつながって、性的マイノリティの若者の居場所をもっと増やせるといいと思っています。

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渡辺 大輔 わたなべ だいすけ
埼玉大学、千葉大学、都留文科大学、東京都立大学・首都大学東京、法政大学、千葉市青葉看護専門学校非常勤講師。専門:セクシュアリティ/セクシュアルマイノリティと教育。博士(教育学)。“人間と性”教育研究協議会 幹事。



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参加者から寄せられた感想

●初めて参加しました。学生時代に自分の周りにいるかも?と考えたことがなかったので、多くの人が理解を求めていることを初めて知りました。

●海外では、ゲイのカップルによく出会うのですが、日本ではほとんど出会ったことがありません。やっぱり日本では雰囲気的にはまだまだむずかしいのかなぁ…

●カナダに比べて日本はあまりにも性的マイノリティの教育がされていないことに驚きました。

●今の学校教育は性的マイノリティだけでなく、性教育全体が遅れているように感じる。性教育全体をボトムアップしつつ性的マイノリティをフォローしていける教育になればいいと思った。

●大人になってから自分で調べるまで性的マイノリティの知識は得られなかった。友人にそういう知識を伝えようと思っても上手く伝えられないので非常にもどかしく思う。性的マイノリティについての知識が常識となる社会になればいいなと思う。

●日本はあまりにも性教育が遅れているのを痛感するけれど、本当にもっと様々な性のあり方、そして男性・女性という性も尊重されるような教育を行う政府に、変えていかなければと思いました。

●現役の高校生として参加をしたけど、アットホームな感じで話しやすかった。日本はカナダに見習うところはたくさんあるけど、身近に小さな変化なら生めるはずなので、少しのことでもやっていきたいと思った。

●悲しいけれど、まだ教員の中にも「ホモネタ」を笑いのタネにする人がいます。でも、研修会を開いて学習するとわかる教員が多いです。私自身は、多様な性について指導しています。子どもたちは柔軟な感性で受け入れます。教員という立場で、まずは自分のまわりから変えていこうと考えています。
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# by salad_lgbti | 2012-01-30 12:23 | 企画の報告
さらだ企画 vol.5
【学校の中の性的マイノリティ 〜カナダの取組みから日本の教育を考える〜】
講師:渡辺大輔さん(千葉大学 他 非常勤講師)

2月5日(土)18:30〜(開場は18:00)
場所●RAFT(東中野駅から徒歩13分/中野坂上駅から徒歩10分)
地図●http://www.purple.dti.ne.jp/raft/
参加費●500円

学校生活で、あなたのクラスに性的マイノリティ(ゲイ、レズビアン、トランスセクシュアルなど)がいたことに気づいていましたか?クラスには必ず当事者がいたはずです。何気ないやりとりで傷つけたり、傷つくことがあったかもしれません。学校はそのまま社会の縮図です。それぞれの学生時代を振り返りながら、性的マイノリティがどう扱われてきたのか、また今後の課題は何かを考えたいと思います。講師は、性的マイノリティと教育について研究されている渡辺大輔さん。現地調査されたカナダ・トロントでの実践を参考に、日本の性教育のあり方についてお話いただきます。講演のあと、参加者同士で感想を交流します(自由参加)。性的マイノリティ当事者の方もそうでない方も大歓迎です。ぜひいらしてください。
※ご自分のセクシュアリティを公表したくない方も参加できます。

主催●さらだ(セクシュアルマイノリティと人権を考える会)
ブログ●http://salad21.exblog.jp/
E-mail●salad_lgbt@yahoo.co.jp

場所●RAFT(らふと)までのアクセス情報
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◎JR線・大江戸線 「東中野駅」下車西口・徒歩13分
◎丸の内線・大江戸線 「中野坂上駅」下車A2出口・徒歩10分
◎JR線「中野駅」からバスの場合 南口下車、京王バス(2番のり場)渋谷駅行き(渋64)
 「中野一丁目」にて下車(バス乗車時間約5分)
◎JR線「新宿駅」からバスの場合 西口出口、京王バスターミナル(15番のり場)野方行き
 「中野一丁目」にて下車(バス乗車時間約15分)徒歩スグ
・東中野駅から約1.0km
・中野坂上駅から約0.8km

RAFT
〒164-0001 東京都中野区中野1-4-4 1F
TEL/FAX 03-3365-0307
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# by salad_lgbti | 2011-01-11 23:00 | 今後の予定
2010年3月14日に開催した、さらだの企画の報告です。
テーマは『テレビの中の性的マイノリティ』。

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MtFのトランスジェンダーで、性社会・文化史の研究者である三橋順子さんを招いての講演会を行い、講演後、グループに分かれて1時間ほどテーマに沿って話し合いました。全体で40人を超える方々にお越し頂きました。

●日本は早くからマイノリティがテレビに登場していた国

 日本って、世界ではとても稀な国です。1960年代というかなり早い時期から深夜番組を中心に、カルーセル麻紀さんなどがテレビに登場していました。今も、全国ネットのゴールデンタイムに毎日のようにはるな愛さんとか性的マイノリティの方が出演されていますよね。性的マイノリティをテレビメディアから疎外している国に比べると、たくさん登場させているという点では評価できると思います。ただ、どういう形で登場させているのか、そこに問題があると考えています。つまり、量的にはOKだけど、質的に問題があるということです。

●おすぎさんとはるな愛さんは同じカテゴリー?

 メディアでときどき使われる「クミアイ」という言葉があります。「『おかま』同業者組合」の略です。少なくともこの5、6年、バラエティ番組には「クミアイ」枠というのが1つあるようです。10人の出演者がいれば、1人は「クミアイ」からというのが番組の基本的な作り方ということです。
 大学の授業で「おすぎさん、もしくはピーコさんと、はるな愛さんは同じカテゴリーですか?」と学生たちに聞くと、3、4割が「同じだと思う」と答えます。理由を聞くと「テレビで同類にしてるから」という返事。これはメディアが作った「クミアイ」カテゴリーに影響されているわけです。

●メディアが作る「まとも」と「非まとも」

 おすぎさんやピーコさん、はるな愛さんなどは、メディア的に「クミアイ」の人ということになりますが、では「クミアイの人」って何かというと、メジャーなジェンダー・セクシュアリティではない人、つまり、シスジェンダーで異性愛の人以外の人です。性的に「まとも」な人たちと「まとも」じゃない人たちというカテゴリー分けなんです。だから「まともじゃない人」が「どう、まともじゃないのか」という点は問われないんです。ジェンダー・アイデンティティに違和感をもっているのか、セクシュアリティの問題なのかは問わない。だからトランスジェンダーもゲイも一緒くたに「クミアイ」の枠組みに入れてしまう。ピーコさんと愛ちゃんの見かけ、性的なあり様というのは、はどう見たって違うのに、「まともじゃない人」という括りでは同類なのです。

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●「おかま」は差別用語。放送禁止に

 ところで、「おかま」という言葉は、語源は江戸時代の俗語で「肛門」という意味です。そこから「肛門を性器として使う人たち、アナルセックスをする人たち」を「おかま」というようになります。具体的には、アナルセックスを仕事としていた、女装をした男娼の呼び名で、昔はかなり限定的な言葉でした。ところが、それが1980年頃から意味が拡大されて、女装している人全体、あるいは女っぽいゲイに対して広く使われるようになります。そういう使い方を広めたのは、テレビや雑誌などのメディアです。現在、使われている「おかま」は、そうした流れで、拡大リニューアルされた差別語なのです。
 戦後すぐの文献ですでに、女装男娼たち自身が「おかま」と呼ばれることを「屈辱的言葉」だと嫌がっています。それなのに70年近く経った今でもメディアは使用し続けています。テレビ局によっては使用注意用語にはなっているようですが、放送禁止用語にはなっていません。明らかに差別性を持った言葉なのに使っていいのです。

●「笑っていい」マイノリティ

 メディアでは、人種・国籍による差別、被差別部落出身者への差別、身体障害者への差別、女性差別、全部ダメです。当たり前のことです。だけど、性的マイノリティだけは差別していい、少なくとも「おかま」は笑っていいことになっているのです。ニュースやドキュメンタリーで、性的マイノリティの人権を擁護することが大事だと言いながら、その後のバラエティ番組で「おかま、おかま」と言って笑いを取る。こうしたダブルスタンダードはいったいどこから来るものなのでしょうか。

●当事者の間の不一致

 その答えの1つに、「おかま」という言葉に対して、当事者が必ずしも一致して怒っているわけではない、ということがあると思います。
 ゲイの方に多いのですが「別にいいんじゃない、おかまはおかまなんだし」とか「ワタシはおかまって呼ばれたい」とか言う。ゲイの方は、外見上「おかま」だってすぐにわかるわけではありません。いちばん指差されて笑われるのはMtFのトランスなのです。ところが、いちばん被害を受けているトランスジェンダーではなく、被害が少ないゲイの人の「おかま」容認論が通ってしまう。現実に「おかま」アイデンティティを持っている方もいるわけで、言葉狩りになるので全面的な使用禁止を主張するつもりはないですが、少なくともテレビなどのメディアで、他称・呼称として、人を指して使う言葉ではないと思います。この点をしっかり認識してもらうことが、メディアにおける性的マイノリティ差別を解消していくための第一歩だと私は考えています。

●テレビに出るのは、いかにも「らしい」人

 それからテレビの性的マイノリティの登場のさせ方、ここにもかなり問題があると思います。例えば、テレビがゲイの人を出すとき、いわゆる「オネエ」しか使わない。ゲイの人には結構マッチョなタイプが多いわけですし、外見上「普通」に見える方が圧倒的です。だけど、そういう人は出さない。「オネエ」だけしか出さない。すでに、ここにゲイのイメージに対する大変な作為があるわけです。
 あるいはMtFの人を出すとき、本当に女性らしい人、「まとも」に見える人は使いにくい。はるな愛さんも、女性らしくしていたのでは使ってもらえない。だから本意ではないと思うのですが、「おっさん!」と突っ込まれると男声で言い返す。それで「やっぱり男なんだ」「まともな人ではないんだ」ということを視聴者に納得させるわけです。

●レズビアンとFtMは出ない

 それからテレビにはレズビアンはいません。出してもらえません。絶対に居ると思うのですが、カミングアウトできない。女性の場合、かっての佐良直美事件(1980年)のように、レズビアンとわかったらタレント生命はお仕舞いです。テレビはすごい男性優位主義の社会ですから、女性は男性の性的対象でなければならない。男性の性的な視線を受け取れないレズビアンはテレビには必要ないという、男性中心的な構造がまだまだ根強いのだと思います。
 さらに言うと、FtMもテレビには出てこない。FtMはテレビだけじゃなく、水商売の世界でもMtFに比べて商業化が大きく遅れました。女性が充分な所得と遊ぶ時間を得ないと「ミス・ダンディ」のような業種は成立しません、商業的にはとても不利なことが、可視化が遅れた一因だと思います。

●テレビドラマ『ラストフレンズ』のミスリード

 2008年春にフジテレビで放送されたドラマ『ラストフレンズ』で、上野樹里さんが好演した瑠可という役は、同級生の美知留(長沢まさみ)が好きという設定で、ドラマの前半でFtMの性同一性障害を匂わす演出がいろいろなされました。ところが、後半のお父さんにカミングアウトするシーンで「私は男の人を好きにならない。なれないんだ」って言うのです。私は、どんなカミングアウトをするのか期待を込めて観ていたのですが、ズッコケてしまいました。「それはレズビアンのカミングアウトだろう!」。FtMのカミングアウトなら「私(の心)は男なんだ」になるはずですね。
 でも、瑠可がレズビアンでは視聴率が取れない。脚本家がインタビューで言っているのですが、レズビアン的な人物造形だと分かっていて、視聴率のために性同一性障害というレッテルを使った、ということです。

●ちょっと男の子っぽいだけで病院に?

 このドラマは、最終回20%を超える高視聴率でした。その結果、何が起こったかというと、自分がFtMだと思ってジェンダークリニックに来る10~20代の若い女性が激増したのです。つまり、瑠可のような女性が好きな、本来はレズビアン・カテゴリーの女性、あるいはせいぜい思春期特有の同性思慕を抱いている女性が、私は瑠可と同じ性同一性障害なんだ、瑠可のように病院へ行かなければいけない、というふうに思いこんじゃったということです。
 テレビドラマが誤解の種を蒔いて、それが現実に悪影響として現れているわけです。こういう明らかなミスリードが生じないように、テレビやメディアをしっかり批判的に観ていかないといけない。そして、あまりにひどい場合は、投書するなどきちんと批判すべきです。黙っていては何も変わりません。
 テレビメディアをしっかり監視して、ちゃんと抗議する、それが、性的マイノリティに対する誤解を減らし、社会的な差別をなくしていくために必要なことだと思うのです。


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参加者から寄せられた感想

●「 『オカマ』という言葉をTVでは放送禁止用語にするべきだ」と初めて聞いたときは禁止することが良いことなのか正直疑問でした。しかし、話を聞いているうちにTVの影響力の強さを感じそれくらいすべきなのだなと納得できました。
●女装で外出中に「おかま」と叫ばれ、グサっときたことを思い出した。
●「オカマ」の語源を私は知らなかったし、現代は意味も広くごっちゃに使われているんだと知りました。普通ではないことで悩んでいる人を笑ってはいけないのだと思いました。
●性の多様性について知ることができました。初めて聞く用語が多く(用語解説、助かりました)理解のスピードはゆっくりですが。異性愛者多数の社会で暮らしていると悪気なく異性愛を前提として会話をしてしまったこともたくさんあったでしょう。人には学習し、想像して、理解する力があると思うので、子どもの頃から正しい教育が受けられるようにする必要があると感じました。
●性的マイノリティを自分はずいぶん単純化してとらえていたんだな、と思いました。メディアの影響も大きいのだなと知りました。



『用語解説』
さらだ作成  ※企画当日は三橋氏作成の用語集が当日限定で配布されました。

【性的マイノリティ】
性的少数派、セクシュアルマイノリティとも言う。ゲイ(男性同性愛者)、レズビアン(女性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、インターセックス(間性)、トランスセクシュアル・トランスジェンダー(いわゆる「性同一性障害」)、Aセクシャル(性的欲求が男性・女性のどちらにも向かず、または薄い人)の人たちの総称。

【ゲイ】
男性同性愛者。ホモセクシュアルともいわれる。もともとゲイには「陽気な」の意味がある。

【レズビアン】
女性同性愛者。もともとは、古代ギリシアの女性同性愛者で詩人のサッホーが住んでいた「レスボス島に住む者」という意味。

【トランスセクシュアル】【トランスジェンダー】
【性同一性障害(GID)】
生物学的性(生まれながらに持っているからだの性)と性自認とが一致しない状況にある人たちのことを指す。性自認を人間の性の基本と据える観点から、からだの性を性自認へ合わせるために、現在、「障害(「性同一性障害」)」としてとらえることが多い。GIDはGender Identity Disorderの略。また、生れながらの性別に従って生きる多数派《非・トランスジェンダー》の事を、「シスジェンダー」と呼ぶ。
【MtF】【FtM】
MtF(Male to Female)は、からだの性は男性で性自認が女性である状態を指し、FtM(Female to Male)はからだの性は女性で性自認が男性である状態を指す。MtFやFtMでも性的指向はさまざまである。

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三橋順子(みつはしじゅんこ)さんのプロフィール

 1955年、埼玉県生まれ。性社会・文化史研究者。多摩大学非常勤講師、国際日本文化研究センター共同研究員、早稲田大学ジェンダー研究所客員研究員。専門はジェンダー/セクシュアリティの歴史、とりわけ性別越境(トランスジェンダー)の社会・文化史。
 21歳のころ、心の中の「もうひとりの自分(女性人格)」の存在に気づき、30歳で初めての女装を経験、35歳から「女装クラブ」に通い本格的に女装の技術を習得した。1995~2002年の間、新宿歌舞伎町の女装スナックなどでゲスト・スタッフを務める。 並行して、MtFTG(Male to Female Transgender)としての社会活動を開始し、ジェンダー/セクシュアリティについての研究・執筆・講演活動を始める。
 現在は、家族の理解を得て、社会的性別をフルタイム女性に移行し、日本におけるトランスジェンダー・スタディーズの構築を目指して著述・講演活動に専念している。
 著書に『女装と日本人』(講談社現代新書 2008年)、共著に『性の用語集』(同 2004年)、『性的なことば』(同 2010年)など。
 趣味は着物。宝物は、パートナー(女性)と息子。
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# by salad_lgbti | 2011-01-11 22:52 | 企画の報告