「さらだ」の活動趣旨や活動内容を紹介していきます。


by salad_lgbti
2008.9.23.さらだ企画vol.2 報告
「女性」と「マイノリティ」2つの生きづらさを考える
LOUD代表の大江千束さんと
副代表で大江さんのパートナー小川葉子さんのお話を聞きました

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ひいちゃう気持ち

大江●これから話す内容に、どうしても性的な話が出てきます。そのときにもしかしたら「いやだな」「私はひいちゃうな」というお気持ちになるかもしれません。同性愛全般がいやなのか、レズビアンがいやなのか、それとも性的なこと全般がいやなのか、自分を省みるチャンスだと思って聞いていただければ、と思います。

コミュニティ人生の始まり ─大江さんの場合

大江●私の場合、中学生の頃ぼんやりと女の子が好きだという自覚が出てきました。漫画や音楽の影響のおかげでレズビアンに対してマイナスイメージなく育ったんですが、高校生のときに同級生を好きになったんですね。でもさすがにコクったらアウトだと思い詰めて親友止まりで耐えていました。20歳後半の1980年代後半にレズビアンコミュニティが誕生します。「女を愛する女たち」という特集の本が出てそれを絶対買いたいんだけど買えないの。本屋さんを3周くらいぐるぐる回って、ほしくもない雑誌と併せて裏返してレジに持っていって、下を向きながらやっとの思いで買いました。その本をむさぼるように読んでからコミュニティに出かけるまでに葛藤があって6ヶ月かかってしまうのだけど、そこからやっと私のレズビアンコミュニティ人生が始まりました。

「正しいレズビアン像」

大江●日本で生まれたばかりの当時のコミュニティは「正しいレズビアン像」を模索していた時期だったと思う。短髪でノーメイク、パンツスタイルというみんなすごく似た格好をしていました。私は髪が長かったからちょっと浮いていたんだけど、初めてそういう人たちにお会いして、とにかくそこでいろんな影響をうけるんですね。それで今の私があるなと思います。自分たちはレズビアンとしてどうあるべきか、日本のレズビアンとしてどういう運動をしていくべきか、ということが議論の中心でした。中にはフェミニズムの経験から真の平等を求めてレズビアンになったという人もいて新鮮だった。やっぱり出会いを求めて行くのだけど「恋人募集中です」なんて言える雰囲気じゃなかったです。

母との確執─小川さんの場合

小川●母は私がレズビアンだということをうすうす気づいていたのですがセクシュアリティに関しては絶対に譲らない人でした。女の幸せとして、自分と同じように夫を持ち子どもを生んで家庭を築いてほしい、というのが母の願いだったんですね。でも私はそれに応えられない。幸せのラインから外れた自分はまっとうな人間じゃない、そう考えた頃が一番辛い時期でした。母は、私にとって理想の女性であったし、大きなバリケードでもあった。これを乗り越えないとどうしようもないな、といつも考えていました。
母は若くして亡くなったのですが、その葬式の後、叔母から母の気持ちを聞きました。「昔は娘を否定的に思っていたけど、今は自分らしくのびのび生きたいように生きていけばいいと思ってる」と。私には決してそんなことは言ってくれなかったけれど最後に私を受け入れてくれた、それは本当に嬉しかったですね。

きっちり対等ってナンセンス

大江●私たちは付き合い始めて丸13年ですが、私は最初、女同士なんだからすべて対等じゃないとダメ、家賃、生活費は1円まで折半、家事はきっちり分担でいきましょう、でなきゃレズビアンカップルじゃないと思い込んでいました。
小川●大江さんはコミュニティの大先輩の方々の訓示を受けているから理想像があったみたいで。
大江●そう。でも、私は家事をやってたから慣れてるけどこちら(小川さん)は不慣れ。だから掃除の仕方とかそういう細かいことで喧嘩ばかり。で、しばらくしてそれってナンセンスだなって思った。だって稼ぎが多い方が多めに出せばいいし、家事だって得意な方がすればいい。何年も経ってやっと分かりました。そしたらお互いずぼらになっちゃってもう妥協、妥協で(笑)。家庭内での他者との不公平感は千差万別で、お互いが良ければ何だって良いって今は思っています。

気持ちだけじゃなく、制度も必要

大江●パートナーシップについて、最初は気持ちがつながっていることが大事で、紙切れ一枚お役所に認めてもらうなんていう結婚制度には頭から否定的でした。でもパートナーシップが長くなって歳をとってくると、自分たちの努力でどうにもならないことがあるって分かってくるんです。それが、制度や法律のことです。どっちかが具合悪くなっても、救急車に一緒に乗れないとか、集中治療室には入れないとかいうことが予想される。住宅の問題でも、私たちは今借家住まいですが東京の場合は公共住宅に同性同士の入居はできないんです。男女だったら「婚約者です」って書けばエントリーできるのに。家を買おうにも夫婦ローンは使えないので2人共有でローンを組めない。一人の査定では、思うような物件は難しい。保険金の受け取りもパートナーにできないし、携帯なんかの家族割りも使えないです。それは現実にある、不平等です。あれだけ「気持ちが一番」と思ってきた私も、ここ数年は同性同士のパートナーシップ制度とか同性婚が必要だとひしひし感じます。もしそういうのがあって、相手を「パートナーシップ制度に則って登録したカップルです」とか「同性婚をしている私の家族です」とかって説明できたらどんなにか楽だろうと思います。


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【質問タイム】

Q答えられる範囲でいいのですが、ベットの中で男女の役割分担はありますか?また、体の関係は必要ですか?
大江●ディープな質問ですが果敢にお答えしますよ。ベットの中では好きにしたらいいと思います。したいことやしてほしくないことなどは自分にしか分からない。それをコミュニケーションできるかが大事だと思います。男女間でも同じですが女性同士だとより言いやすいと思います。
 長くつきあうとセックスレスにもなります。セックスがあってもなくてもいいと思います。最初から性的欲望が極端に少ないなどの、アセクシュアル(エーセクシュアル)な方もいらっしゃいます。

Qレズビアンとして子どもを生みたいという気持ちはあるのでしょうか?
大江●レズビアンコミュニティの反省点のひとつに子どもをどう持つかという議論をしてこなかった、ということがあると私は考えています。ゲイでもレズビアンでも子どもを持ちたいという気持ちは当然あると思います。私はすごくほしい時期があったので10歳若かったら外国に行って体外受精をしたかもしれないですね。
 外国のレズビアンコミュニティの方々に「どうしてオオエ、オガワは子どもを持たないの?」とよく質問されます。アメリカでは子どものことがコミュニティの筆頭トピックだったりするんですって。実際には日本にも子育てをしているカップルは大勢います。それは結婚歴があって離婚し、子どもをパートナーと育てているというのが一番多いパターンです。子育てということをもっと前向きなものとして議論してこなきゃいけなかったなあと感じていますが、おそらくこれからの課題になってくると思います。
小川●私も子どもは好きですが、男性と結婚しないから生まないだろうという意識でいました。もし日本で同性カップルに認められていたら里親制度で子育てをしたかったなという思いはありますね。

Q今後どのような活動をしていきたいですか?
大江●普段は仕事をしていて、余暇をここのボランティアに割いているのでできることは限られているのですが、メディア対応も含めて当事者以外の人と関わって「こういう人たちがいるので一つよろしくお願いします」ということを続けることかなと思います。
小川●ラウドにはレズビアンもバイセクシャル、トランスセクシュアリティ、インターセックスの方もいらっしゃる。あるいはヘテロセクシュアルの方も。もういろんな人に社会的に開かれた、安全な場所として利用してもらえる、そういう姿勢でやってきたので、これを貫いてさまざまな交流を続けていけたらいいな、と思っています。

レズビアンとバイセクシュアル女性のためのセンターLOUD(ラウド)って?
1995年、レズビアンを始めとするセクシュアルマイノリティ当事者が自由に使えるスペースとして、3人のレズビアンによって創設された。書籍のレンタルや閲覧、雑誌やグッズの購買などもできる。

【参加者から寄せられた感想】

●僕は、異性愛者(今後はわかりませんが)ですが、以前片思いだった女性になかなか振り向いてもらえず、「この人はレズビアンではないか」と考えたことがあります。そのとき、本当に!本当に!「俺が男性とつきあう楽しさを教えてやる!」と思ってました!今日お話を聞いて、大江さんが会社の男性に「治してやる」と言われたこと、ゾッとしました。みんな考えるのでしょうか。

●あまり今までパートナーシップのことなど考えていませんでしたが、日本の制度では難しいことが多かったのをはじめて知りました。誰もが同じように暮らせるよう、いろいろな活動が必要ですね。いろんな人がいる世の中があたりまえだと思うので。

●等身大の体験談が興味深く、面白かったです。この国の制度とのギャップなど、興味深かったです。

●自然な感情、否定的でなく、ムリヤリいきがってない同性愛者、カップルに初めて接しました。なにかとマジョリティ批判みたいなことをはげしく言う人が多くて、ウンザリしていましたが、今日はとても気持ちよくお話を聞けました。ありがとうございます。

●大江さん、小川さんの話を聞いていて、私の思春期時代を思い出していました。女の子どうしで手をつないだり、親友でいつも一緒にいた子が別の子といると嫉妬したりしていました。当時は、同性の方が興味があったと思います。正直、自分のことが男らしい、女らしいというのをあまり考えたことがありませんでした。それは、とても幸せなことだったと思います。
 また、私は小学校の教師をめざしています。小学生でも高学年になると“性”について考えている、考え始める頃と考えると、教育の場でも考え合う、話し合う場をつくっていきたいです。

●ヘテロに対する怨念のようなものをちらりと感じました。ex.「ヘテロおやじ」発言。同/異性愛者間の亀裂を生むようで気がかりでした。性的マイノリティが問題化しはじめた黎明期から頑張ってこられている経験が聞けてよかったです。

【講師プロフィール】
大江千束 おおえちづか
1960年東京都生まれ。1988年より東京新宿「れ組スタジオ東京」主催の集いに参加。1994年30代以上のレズビアンの集い「グループDARUMA」の事務局を担う。1995年東京中野にレズビアンとバイセクシュアル女性のためのセンターLOUD※(ラウド)が創設され利用者として参加。1997年LOUDのスタッフとして運営に加わり、1999年LOUD代表として運営の中心となり現在に至る。
【著作】2000年『同性愛がわかる本』(伊藤悟著/明石書店)に、エッセイを執筆。2002年『多様な「性」がわかる本』(伊藤悟、虎井まさ衛著/高文研)に鼎談で参加。2003年プロブレムQ&A『同性愛って何?』(共著/緑風出版)。2005年プロブレムQ&A『10代からのセイファーセックス入門』(共著/緑風出版)。2007年プロブレムQ&A『パートナーシップ・生活と制度』【結婚・事実婚・同性婚】(編著/緑風出版)。
※LOUDウェブサイトhttp://www.space-loud.org/loud

小川葉子 おがわようこ
1963年東京都生まれ。1994年に「グループDARUMA」に参加。1999年LOUD※のスタッフとなり、ファンドレイジング・イベントのキャンドルナイトを手掛ける。現在もLOUDの副代表として運営を担う。2002年「東京レズビアン&ゲイパレード2002」公式企画「東京・人権2002フォーラム レズビアン&ゲイ・ライフのこれから」に同性同士のパートナーシップの実践者としてパネリストで参加。レズビアンの当事者であることを隠すことなく、複数の大学他で出講を行う。 
【著作】 2002年『多様に「性」がわかる本』(伊藤悟、虎井まさ衛著)にライフストーリーを執筆。2003年プログレムQ&A『同性愛って何?』(共著/緑風出版)など。 
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# by salad_lgbti | 2009-05-27 10:56 | 企画の報告

さらだ企画vol.2・報告&

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08年9月23日、「レズビアンとバイセクシュアル女性のためのセンターLOUD」にて、LOUD代表の大江千束さんに講演していただきました。

講演では、同性カップルが抱える制度的課題や、女性でありマイノリティであることから生じる職場や家族との問題など、大江さん自身の経験をふまえ、とても分かりやすく、お話していただきました。そして、大江さんのパートナーでありLOUD副代表の小川さんとの掛け合いは、とても軽快で楽しく、尚かつ多くのことを気づかせてくれる内容でした。会場には、たくさんの人が集まり、熱心にお二人の話に聞き入りました。

お越し頂いた方々、そして大江さん、小川さん、ほんとにありがとうございました。講演の詳しい内容は後日アップする予定です。

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ひとまず、参加者のアンケートの一部をご紹介します。

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「何故、自分のセクシュアリティのことを公に話すのか?」という問いに対して、「言わないと、誰にも分かってもらえないから」という答えがすごいと思いました。相手に受け入れられるかどうかが自分にとってキーポイントだったので、双方的な、相手との関係性を重要にしてらっしゃるから、そのような答えをだすことができるのだなあと感嘆しました。
あと、企画全体が漫才のような掛け合いがあって、とても面白かったです。
制度面でのつまづきが、気持ちが繋がっていればいいという気持ちを追い越してしまうというお話しが、これから自分にどういう壁としてぶち当たるのかなんて考えていなかったので、将来を考える上で、絶対に考えなければいけないことだと目が晴れる思いをしました。(T)

今回、初めて企画に参加しました。レズビアンの方からお話を聞くのも初めて。私は異性愛者ですが、あらためてセクシュアリティの捉え方について考えるとても良い機会になりました。セクシュアリティの捉え方がこんなにもあることを知りました。日本は制度的にも他の国に比べて遅れていることも知らされました。“まずは知ること”が第一なんだと思います。とても楽しかったです。いい恋愛をしたいなあ、と思いました。

今回初めて企画に参加しました。私自身は、性別じゃ女性で性自認も女性で性的指向も異性が好きなのですが、ジェンダーという観点で勉強をしていて今回の企画にたどりつきました。なので会社での女性の扱われ方とか女と男の「役割」の違いっておかしくないか、ということは常々思っていて、そこから女とか男に限らず「らしさ」という呪縛に縛られて生活しているということが根幹にあるように感じました。同性婚を認めることもそうですし、個人個人がそれぞれ自信をもって「自分らしく」生きられる世の中になることが重要かな、というふうに思いました。(無記名)

パートナーとして困ることなどのエピソードは今までにほとんど聞いたことがなかったので新鮮だった。でも、実際に共に生活されたり、親戚関係を築いているということで大変ながらもステキに生きているなあと思った。好感が持てました。
「正しいレズビアンスタイル」という話も面白かった。ゲイコミュニティにも似たスタイルの人が集まるということがある気がして、私はそれに違和感を持ってしまう。多様な人がいる方が自分は自然でいられる。やっぱりヘテロも含めて社会のなかでふつうにマイノリティが生活できるのがよいなーと思った。(無記名)

あまりレズビアンの知り合いはいませんが、高校の時に同じクラスのコがそうだったんですが、彼女もいろいろと考えたり悩んだりしていたのでしょうか。学校とかで、もう少しいろいろ話題になるとよいなあと思いました。(無記名)
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# by salad_lgbti | 2009-01-18 19:15 | 企画の報告
さらだ企画第二弾のお知らせです!

今回のテーマは、
『女性』と『マイノリティ』
2つの生きづらさを考える、です。

講師は、『レズビアンとバイセクシュアル女性のためのセンター「LOUD(ラウド)」』代表の大江千束さんです。

LOUDにはさまざまな生きづらさを抱えたレズビアンやGID(「性同一性障害」)、バイセクシュアル女性の方たちが集まるそうです。「女性」であり「マイノリティ」であるということで生じてくる、さまざまな問題や悩みをうかがい、だれもが自由に生き生きと暮らせる社会にするために何が必要か…など、一緒に考たいと思います。この企画は、すべてのセクシュアリティの方に開いてます。ぜひ、みなさんの参加をお待ちしています。

日時:
2008年9月23日(火・祝)
13:45開場
14:00開会
15:30終了予定
※その後、交流会があります。(希望者のみ)

チケット:
500円(当日精算券あり)

会場:
レズビアンとバイセクシュアル女性のためのセンターLOUD
住所/東京都中野区中野5-24-16 中野第2コーポ
電話/03-3319-3069
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お問い合わせ:
「さらだ(セクシュアルマイノリティと人権を考える会)」
連絡先 E-mail/salad_lgbt(アットマーク)(アルファベットのワイ)ahoo.co.jp
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# by salad_lgbti | 2008-08-05 12:33 | 今後の予定
2008年2月23日、佐倉智美さんを招いての講演会を行いました。
『男』って?『女』って?自分らしく生きられる社会って?という内容で佐倉さんに講演をしていただきました。

その講演の内容を記載します。

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「性別は男と女、恋愛は異性愛間」という常識

 「あなたと同じ性別はここに何人いますか?」と聞かれたらどう思いますか?一般的には男性として生きている人は男性を探すでしょう。それからよくある、男・女のどっちかに○をつける性別欄。性別といえば男と女の2つでそれ以外はないし、恋愛は異性間、これが常識ですよね。
 でもこの常識に疑問を持つ人がいるんです。セクシュアルマイノリティです。性的少数者って少数だけど、「そんなやつおらへん」というほどには少なくないんです。

性別欄は男に○?女に○?

 私は、昔は迷わず男に○をしていました。今は○をつけるとき、ハタと考えるんです。デパートのカードを作るときなどは女物のお知らせが届くので女に○をする。困るのは体に関することや書類に関することのときなんですね。子宮がん検診やったら男にしないとまずい(笑)。また着替えがあるような場合には男に○をしていました。でも温泉で「お客さん、そっちは男湯です!!」と言われることも。女湯に入ったこともありますが、何かあったらどうしようとドキドキして、お風呂からでたときにはぐったり疲れ、なんのために来たのかわからなくなりました(笑)。
 女性1名で予約した台湾旅行で、空港で私だけ20分くらい待たされハラハラしました。パスポートにはMとなっているので予約の性別と違っていたからではないかと思います。
 すべてが男女別になっている中、性別が違っていたらどうなるのか。ピンチを何度もくぐって、世の中の男と女のカラクリを考えるようになりました。

子どものころ

 3歳くらいのとき、自分は男だと親に言われて残念に思っていました。親は「腕白でもいい、たくましく育ってほしい」(笑)と考えているけど自分は期待に応えられない。男の子同士ではうまく遊べないし、いじめられる。プロレスなんかは苦痛でした。一方女の子とは楽しく遊べる。それが問題ないということなら良かったのですが、そうはいきませんでした。 
 私の恋愛対象は女性です。中高生のころは好きな人が女性なんだから「オカマやない」と異性愛のルールに従って思考停止をしていました。でも女同士だったら友達として仲良くなれたはずなのに異性だということで恋愛の手続きをとらなければならなかったんです。

女として生きてみよう!

 大人になり、家族も持ったあと、埼玉医科大学で性適合手術の話を聞きました。「心の性別と体の性別が一致しない、うんぬん。」そうや、それそれ!性別を変えるなんて変態やと思っていたけど、「性同一性障害」と名前をつけるぐらいたくさんいるんやと知りました。
 女として生きてみよう!と、とりあえず、女物の服を注文して着てみました。ときめくんです(笑)。でもときめくと、あかんのちゃうか、元に戻れなくなるんちゃうか、という罪悪感に苛まれます。こういう自分でいいんだ、と認められるまでに1年間かかりました。
 それに男性として生きて30数年、女としての経験値はゼロです。化粧をして街を歩き、高校生らに「オカマが歩いてるよ〜」と言われて「しまった、バレたか」とまた研究する日々でした。

トイレは踏み絵

 トイレは大げさに言えば「踏み絵」なんですね。トイレの前でどっちの性別か表明させられるんです。
 でもすべてトイレを男女一緒にすればいいというのも違います。女として生きるようになってから、道でおじさんに声をかけられたりして女はこんなに怖い思いをしているのかと知りました。関西には「みんなのトイレ」東京では「だれでもトイレ」という障害者や子どもなど誰でも使える多目的トイレがありますが、トイレをこういうものに変えていくというのは、1つの理想の形として参考になるのではないでしょうか。

個人の好みのタイプでは

 よくゲイ映画で、恋の告白を受けて「ごめん、俺ゲイだから」と断っているシーンがありますが、個人的に好みのタイプじゃなかっただけ、と考えられないでしょうか。同性愛か、異性愛かというけど、自分の好みのタイプを好きになっているだけで、世間が異性愛のルールをしいているから同性愛とかの名前がつく。なんら違いはない、そう考えるとみんなが生きやすい方向にいくと思います。

男の国と女の国

 今は、男の国と女の国の間に、ベルリンの壁のような壁があります。今ベルリンは壁が壊されてそこはただの道になっています。男と女の国境もただの道路になったら、マイノリティだけじゃなくそれぞれの自分らしさを選択できる社会になる。誰もが生きやすい社会につながっていくんではないでしょうか。

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●佐倉智美さんのプロフィール
 1964年、関西に生まれる。幼いころより自分の「男」という性別に違和感を覚える。
 高校の社会科講師、塾講師などを務めつつ、社会における性別役割分業・性差別、そして性別そのものへの疑問をつのらせる。
 1997年、自らの“性同一性障害”を確信。自分らしく生きることを求め、社会的・文化的性別を「女」へと転換。インターネット上にホームページを開設し、また執筆・講演活動なども通じて、積極的に情報発信中。
 講演・講義は、三重大学「性の多様性概論」(平成14年度)、日本女性会議2003大津をはじめ、各種市民セミナーなどや、学校教職員・自治体職員の研修など多数。
 2005年3月、大阪大学大学院人間科学研究科・博士前期課程修了(修士号取得)。その後、研究室付事務補佐。
 2004年6月より(ジェンダーバイアスフリーな社会をめざした各種活動をおこなう)NPO法人「SEAN」理事。
佐倉ジェンダー研究所

【著書】
「性同一性障害の社会学」
1890円 現代書館
「明るいトランスジェンダー生活」
1890円 トランスビュー
「女が少年だったころ」
1470円 作品社
「女子高生になれなかった少年」
1680円 青弓社
「性同一性障害はオモシロイ」
2100円 現代書館

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参加者から寄せられた感想

●性別は2つじゃない、無段階にある、というお話、とても新鮮でした。自分は女らしいといわれる部分も、男っぽいのでは?と思われる部分も混在しているような気がしていました。でも性別は人の数だけあるのかもしれないという言葉を聞いた時、あ、自分はこれでいいんだと思うことができました。自分らしく生きるということを、せばめているのは自分の意識なんだと思いました。そしてそれに影響を与えるのは社会の枠組なのだということもわかりました。そんな社会のしくみも、もっとみんなが生きやすいものに発展していくといいなぁ(変えていきたいなぁ)と思いました。

●今、自分が好きな人は女性です。しかし、「男らしさ」のおもりをどっぷりつけているなと、とても感じます。人前では泣けない、弱音ははかない、など。立ち姿や、座り方、荷物の持ち方に至るまで、「らしさ」を押しつけられてしまっていて、今の自分の価値観をとても疑ってしまいます。その中で好きになる人もまた世間に押しつけられたものなのか、と悲しくなることもありますが、「自分が好きな感情はその人次第」という言葉にとても励まされました。セクシュアルマイノリティの問題をつきつめることは、現代で生きる人すべてにとって励ましになるのではないか、と考えました。素敵な結論(まとめ)に感動です!

●「みんなのトイレ」の話がなるほど、と思った。やっぱり人々の意識を変える啓蒙活動も大事だけど、意識が発生するところの構造や物質的な物を変えることも必要だと思うから、そういう具体的な提起があると共感しやすいし、現実的な問題としての認識ができる。 

●告白を断る時に、「ゲイだから」って通る理由だと思っていたんですが、「タイプではないから」という方がしっくりするなと、お話をきいて、目からウロコでした。

●話を聞いて、「心が女性=男が好き」ではないというところが新鮮だったというかハッとしたところです。
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# by salad_lgbti | 2008-08-04 19:53 | 企画の報告
2007.8.19. プレ・プログラム
セクシュアリティの多様性をみんなで考える学習会を行いました。

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 『性的マイノリティって知ってる? すべての人が自由に生きられる社会って? みんなで考えよう学習会 杉山貴士さんが語るセクシュアリティの多様性』
 8月19日、東京都内で学習会が行われました。20〜30代のセクシュアルマイノリティ(性的少数者、以下マイノリティ)とその支援者(現在のさらだ事務局メンバー)が何度も話し合いを重ね実現した企画です。講師の杉山貴士さん(33)はゲイであることを公表して、兵庫民医連の診療所事務長をしながらマイノリティの問題に取り組んでいます。
 はじめに杉山さんは、性について次のように解説しました。「性は文化的性、体の性、心の性、恋愛の対象としての性という4つの角度からとらえられ、人間にとっては心の性が一番大切なものです。マイノリティとは、恋愛対象が同性(ゲイ・レズビアン)、体の性と心の性が不一致(性同一性障害/トランスジェンダー)、恋愛対象が同性でも異性でも可(バイセクシャル)、両性の特徴を持つ人、性的無関心の人などを指し、人口の3〜5%存在するというデータがあります。性の境界線は個人によって様々で、きっちり区分けできるものではありません。また同性愛か異性愛かの違いは、左利きか右利きかの違いと変わらないとも言われています。」
 杉山さんは次に、マイノリティをめぐる世界や日本の歴史にふれたあと、自らの海外での研究を紹介しました。「米のボストンでは同性愛カップルが子どもを持ち普通に生活する街があり、家出したマイノリティの子どもを支援する施設などもあります。台湾では、2000年にマイノリティの高校生が学校で死亡した事件があり、それをきっかけに行政が積極的にマイノリティの人権を守る政策に取り組んでいます。」
 さいごに杉山さんは、マイノリティとどんな感覚で接してほしいか、ヒントを話しました。「マイノリティは身近にいます(公表していなくても)。会話は相手の立場を想像して言葉を選ぶことが大事です。自分が言われたらイヤなことは言わないというのが基本だと思います。」
 質疑応答コーナーでは会場から多数の質問が出されました。同性婚について、マイノリティは感覚が鋭いイメージがあるがどうか、杉山さんの職場での経験を教えて…など、参加者の関心の高さをうかがわせました。学習会終了後も多くの人が会場に残り、あちらこちらで会話の輪が広がっていました。

杉山貴士さんのプロフィール
1974年生まれ。『同性愛・多様なセクシュアリティ』(子どもの未来社)編集代表。専門分野は性教育国際比較、台湾性別平等教育研究。月刊誌『女性のひろば』07年10月号に記事を寄せる。兵庫民医連の診療所事務長として働きながら、性的マイノリティの人権運動に参加。大阪市在住。
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# by salad_lgbti | 2008-04-26 17:01 | 企画の報告